machiruda1984’s blog

特撮ヒーローとかプリキュアとか

最終カイ前に予想する、神とは何か?

〇これは最終話前に書いています

スーパー戦隊シリーズ第45作「機界戦隊ゼンカイジャー」が、これを書いている時点で残すところあと最終話だけだ。最終話が終わってからの全体総括みたいなのはまた改めてしたいのだが、いわゆる”ラスボス”として君臨する自称”神”とはなんなのか、今わかる情報から独自に推察してみたい。もちろん最終話が放送されたら「いやお前の文、全然的外れじゃねーか!」となる可能性も否定はしない。それはそれとして、今思っていることをひとつの文にまとめたいくらいの溢れる思いがダイゼンカイなのだ。だから1つの読み物として楽しんでいただけたら幸いだ。

 

〇日常ってぶっちゃけ何よ

筆者は以前「ゼンカイジャーとはなんだったのか」という記事でざっくりこう予想している。『ゼンカイジャーは男児向けヒーローの”戦闘パート”と女児向けプリキュアの”日常パート”をハイブリッドしたヒーロー』。その詳細は改めてそちらをご覧頂きたいのだが、ゼンカイジャーは1年かけて彼らの日常をつむぎ続けた。

 

 

その結果、終盤のバラシタラ戦でステイシーは「これから自分が共に歩んでいく日常」、ゴールドツイカー一家は「気づいたら持ってたお宝=日常」と、やはり日常を取り戻すためについに強敵をうちやぶる。ゼンカイジャーもレジェンド戦隊の助けを借りて大王ボッコワウスを倒し、日常を取り戻す。おお、やはりスーパーハイブリッド香村純子は恐ろしい。なんたるカタルシスだ。

 

「…ちょっと待って、”日常”ってぶっちゃけ何よ」。人間世界とキカイトピアが融合し、なんやかんや共同生活が始まり、渾然一体とした”日常”。そうだ、考えてみればプリキュアの妖精もキカイノイドも、冷静に考えたら明らかな異物だ。いやでも、そういうのコミコミで守るのが戦隊やプリキュアの日常じゃないですか。ていうかあんた誰?

 

ゼンカイ世界の自称”神”は恐らくここを突いている。視聴者にとってももはや日常であった”非日常”を、いやいやそれって変だよね、おかしくない?と語りかけているのだ。それでこの自称”神”の正体と言うのが、筆者は「めちゃくちゃ几帳面な、研究者もしくは編集者」だと思っている。

 

〇神の正体候補①理系の研究者

筆者は理系大卒なので、試験や実験の時に口を酸っぱくして言われるあるワードを思い出す。「外乱の影響を考えなさい」と。理系じゃない人にわかりやすく例示するとこうだ。

 

あなたが小学生だとして、ちょっと変わった爬虫類か何かを観察して日記をつけることにした。しかしそこにお姉ちゃんが現れ、気持ち悪いと捨ててしまった。あるいは家の猫に食べられてしまった。

これでは観察日記にならない。であればどうするのか。それはお姉ちゃんの行動範囲から離れた場所に移し、猫が開けられない箱を用意することだ。

 

これはざっくりした例えだが、理系の研究者と言うのは多かれ少なかれこのように「〇〇は無視できることとする」を作ることに腐心する。電気ノイズが入れば正しいセンサ信号は得られない。納豆菌が混入すればどんなに素晴らしい酵母もあっという間に全滅するのだ。

外乱の入らない環境、特に物質の移動を許さないのが物理用語で「閉じた系」であり、理系的に見たトジルギアの効能は閉じた系を作ることだ。突然殺されないだけ閉じてた方がマシなんじゃないかと言う側面もあるが、いや俺たちはお前の実験動物じゃない、もっと自由だとそういうタイプの敵に抗ってきたヒーローヒロインは確かにいる。ニンジントピアもダイコントピアも、それぞれを純粋培養するために作り出した世界なのであれば、理系脳的には理解出来る。

 

〇神の正体候補②文系の編集者

これまた正反対の要素のような気がする。スーパー戦隊シリーズではない例えで恐縮なのだが、週刊誌で分冊百科というのがあるだろう。仮面ライダーオフィシャルデータファイルとかがそれに該当する。筆者の考えるもうひとつの候補は、こういう物や図鑑などを作っている存在なのだ。

 

仮面ライダー1号の項目をまとめあげた編集者はふと我に返る。「仮面ライダー1号はその後も数々の仮面ライダーのもとに現れ、ピンチを救った」、なるほどそうだ。そうするとこの項では仮面ライダーBLACK RXだとか、仮面ライダー鎧武だとかの内容もちょっと触れないといけない。そして仮面ライダー鎧武は烈車戦隊トッキュウジャーと交流したこともある…トッキュウジャー?何だこれは?仮面ライダーの本を作っていたのに戦隊が紛れ込んできた。どこからどこまで網羅してファイリングすればいいのだ?

 

今「ファイリング」と言った。トジルギアとは、ひょっとして”綴じる”ギアなのではないか。事務職の人ならよく見るだろうキングジム社のあの無骨な青いファイルが、あるいは学校でよく使う薄緑のあの紙ファイルが、いろんな項目を各ファイルに纏めて綴じる行為そのものが「綴じるギア」なのだ。さっきの「閉じるギア」とダブルミーニングになっていたのではないかという説。外乱を防ぐのが閉じるギアなら、しっちゃかめっちゃかな内容・内乱を整理するのが綴じるギア。だから神ステイシーは「元いた世界にお帰り」と、キカイトピアの一般人を地球からキカイトピアにファイリングし直していたのだ。

 

〇あの時確かに交わった

各世界をきっちりファイリングして、たくさんのファイルをきっちり本棚にまとめる。理系側だったとしても報告書やデータファイルみたいなものは作るだろう。とにかくそういう几帳面さが神の行動に現れているのだ。それが「めちゃくちゃ几帳面な、研究者もしくは編集者」と言った仮説の真実だ、お分かりいただけただろうか。

 

ところで、そういう”本棚”をこれまでゼンカイジャーのどこかで見かけなかっただろうか?…いや違う。鎧武とトッキュウジャーが交わったように、ゼンカイジャーも仮面ライダーと交わっている。それは映画「スーパーヒーロー戦記」だ。仮面ライダーセイバーの世界、アガスティアベースの中に封じられた禁書…仮面ライダースーパー戦隊の物語がびっしり並べられたあの本棚。神とは、あの本棚を作った者(もしくはその同族)なのだ。だとすれば仮面ライダーダブルの「地球(ほし)の本棚」もその系統なのかもしれない。地球上のありとあらゆる事象をファイリングした”誰か”が確実に存在したのだ。

 

映画の敵アスモデウスが全ての物語を解放しようとしたのと正反対に、神は本棚にキッチリ纏めたいのだ。よく「戦隊は仮面ライダーのオマケ」と揶揄される。スーパーヒーロー戦記のシナリオを書いているのはセイバー側の毛利亘宏氏だから、バランス的にセイバーに寄るのは仕方なかったのかもしれない。だがしかし、もしここまでの推察が真実なら、スーパーヒーロー戦記で”本棚を見せること”そのものがゼンカイジャーにとっての大いなる伏線だったと見ることも出来ると思う。そして神に抗う者アスモデウスは、戦隊とライダーがなんやかんや倒したので、神が手を下すまでもなかった。いやもしかしたら、石ノ森章太郎をスーパーヒーロー戦記の時空に呼び出したことすら神の御業だったのかもしれない。

 

〇物語の結末は誰が決める

ただし編集者と言っても作者ではない。そこがこれまでの戦隊の神がかったラスボスとは異なる点だ。簡単な干渉はできるが、直接手出しをすることはできないか、少なくともしない。まぁオミクジトピアを丸ごと消している以上、ファイルそのものを消去すると言ったとんでもない力は持っているのかもしれないが。

 

しかし神にとっては各世界の行く末そのものには興味が無い。黒十字軍がゴレンジャーに勝利して世界が黒十字軍トピアになったとしても、多分それはそれで構わないのだ。「物語の結末は俺が決める!」そうですか、どうぞどうぞ。ただ勝手に他と行き来するのだけはやめてね。だからトジテンドにも干渉するし、ゼンカイジャーにも干渉する。明確な「悪」ではないのが一番ややこしいが、神がこのタイプの存在であるのなら、完全消滅よりも一定の和解で終わるのだろう。「お前達のこれからをじっくり見させてもらうよ」的なやつである。落とし所としてはそれがベターのように思えるし、スーパーハイブリッド香村純子がさらにナナメ上の回答を持ってきたらそれはそれで大したものだ。

 

そこまで予想して、最終カイを皆で楽しもうじゃないカイ!